中国地方でこの春注目のスポットは広島市内に誕生したJ1広島の本拠地「エディオンピースウイングスタジアム広島」
関東出身の記者にとって、西日本は憧れの場所。そして、中国地方では新たなスポットやグルメが話題になっているという。これは、春休みを先取りするしかない!岡山&広島を訪れるため、新幹線に飛び乗った。(倉地 城)
岡山市内で1台だけ走る「カレータクシー」(写真右はドライバーの居森寧々さん)
昼過ぎに降り立った岡山駅で、思わず声が出た。「カレータクシー、本当に来た!」。イエローの車体に3種類のカレーと9種類のスパイスのイラストを散りばめた1台。「岡山カレー」を新名物として推す同市とあって、地元・両備グループの「岡山カレータクシー」は要チェック。このデザインは約500台の中で1台だけ。たまたま出合える確率は低く、予約は必須だ。
カレールーを入れるポットの行燈が特徴の「カレータクシー」
車内でも、カレー色のシートにテンションが上がる中で「QUIET VILLAGE CURRY SHOP」に到着した。01年オープン、カウンター9席の店内は温かみのある雰囲気。地元食材にこだわった、やさしいカレーが食べられる店だ。
カレー色のシートでテンションも上がる「カレータクシー」の車内
「QUIET VILLAGE CURRY SHOP」はオープンと同時に行列ができるほどの人気店
同行のカメラマンとあわせ2食を注文。3種盛りの「チキン、ダル、カキ」と「チキン、ダル、ほうれん草&厚揚げ」をチョイスし、スパイス卵と岡山白桃チャツネをトッピング。じんわり汗をかきながら、地元の新鮮食材のうまさに舌鼓を打った。
記者が注文したチキンカラー、ダル(豆)カレー、法蓮草&厚揚げカレーの3種カレー(※ゆで卵、岡山白桃チャツネのトッピングは別料金)
特に白桃で知られる岡山とあって、チャツネがまろやかさを演出。「油分は少なめにしています。続けて食べに来られ、体の調子が良くなったという方もいます」とスタッフは話す。
「カレーで岡山を盛り上げたい」という思いが詰まった一皿だった。
カメラマンが注文したチキンカレー、ダル(豆)カラー、牡蠣の3種カレー(※ゆで卵、岡山白桃チャツネのトッピングは別料金)
岡山後楽園南門付近から見る岡山城
昼食後は「新サービスが話題となっている」という岡山城を訪れた。
戦国時代の大名、宇喜多秀家により1597年頃築城。黒の下見板張りの外観から「烏城(うじょう)」と呼ばれている。22年11月に改修・リニューアルし、力を入れている取り組みが「岡山城ナイトバンケット」だ。
「集う城」としてリニューアルされた岡山城天守には懇親会やパーティーなど夜間貸し出し可能なスペースもある
閉館後の天守閣をバンケット会場として利用でき、アルコールなど飲食も可能。着座で100人も入ることができ、映像音響設備、机、イス、パントリーが使用できる。10万円で貸し切り「殿さま」「姫さま」気分を味わえるというわけだ。
岡山城最上部6階から見る岡山市内の景色(右下が岡山後楽園)
用途はさまざまで、企業の懇親会から城好きによるオフ会、誕生会、結婚式などの実績もある。県外からの利用者も急増。アフターコロナ活動の一環で〝城主になれるワーケーション〟としてもチョイスできそうだ。
もちろん、開館時には貴重な展示を堪能できるほか、天守閣1階「烏城カフェ」で「お城パフェ」も味わえる。手作り果実ソースやマスカットゼリー、お城モナカ…。フルーツ王国・岡山の果実の恵みをどうぞ。
烏城カフェでは岡山産いちごなどをふんだんに使用した「いちごパフェ」が大人気
絶品甘味でひと息ついた後は、隣接する日本三名園のひとつ「岡山後楽園」を散策し、次なる訪問地・広島へ向かった。
岡山城の観光とセットで楽しめる特別名勝「岡山後楽園」もおすすめのスポット
きれいな天然芝が敷かれたピッチは実に美しく、スタンドとピッチの距離は最短距離で8㍍
サッカー、陸上担当時代に何度も訪れた広島。元々スポーツが盛んな地域だが、このほど、平和発信の役割も担う新サッカースタジアムが誕生した。
J1広島の新本拠地で「エディオンピースウイング広島」と名付けられた。外観は翼(ウイング)をイメージして設計された屋根が特徴で、原爆ドームから徒歩圏内。約2万8500人を収容する巨大施設は、浦和との開幕戦を終え、大いに盛り上がっていた。
北側スタンド上部には国立競技場に並ぶ幅32㍍、高さ9㍍の大型ビジョンを設置
スタジアムに入ると、芝の鮮やかさはもちろん、グラウンドと観客席の近さに驚くはず。最短距離は8㍍で、選手の表情や息づかいまで体感できるほどだ。北側スタンド上部には国立競技場に並ぶ幅32㍍、高さ9㍍の大型ビジョンを設置。そしてJ最多の42席種はあらゆる人を満足させるものだ。
バックスタンド4階に設けられた最大30人収容のソファー付きパーティーテラス
2階コンコース東側には「Peace Wall」として「キャプテン翼」の壁画を設置。原作者の高橋陽一氏が特別に書き下ろした横幅8㍍62、高さ2㍍の巨大なもの。主人公・大空翼が「ボクはサッカーで世界平和を叶えるため、この広島から〝サッカー世界平和宣言〟を全世界に発信します!」と呼びかけている。
2階コンコース東側に設置されている高橋陽一氏が書き下ろした巨大壁画には「世界平和」のメッセージが込められている
巨大壁画には作者・高橋陽一氏の直筆サインも描かれている
以前の本拠地だった広島ビッグアーチ(エディオンスタジアム)は郊外にあったが、今回は〝まちなかスタジアム〟とうたう通り、アクセスの良さが際立っていた。
「汁なし担担麺」で人気の「くにまつ」
広島といえば、言わずと知れたグルメ都市。お好み焼やカキは定番だが、汁なし担担麺も広島発祥と言われている。
中でも「くにまつ」は屈指の知名度を誇り、県内外に15店舗を展開する人気店だ。
昼時の八丁堀本店は文字通り大忙し。松崎理恵さんを中心に切り盛りしていた。松崎さんは「社長(夫)は長野出身で、広島で食べた一杯の味に感激して移住しました」という。広島出身の理恵さんと結婚し09年から店を手掛けている。
山椒などによる「しびれる辛さ」は絶品。そして麵や具材は手作りというこだわりもうれしい。汁なし担担麺(大盛り)、温泉たまご、最後にライスを投入して二度おいしい!
「オフィス街にあるので、早く、おいしく、できる限り安く出したいと思っています。混んでいなければ、注文から1分半で提供します」という気遣いもありがたい。
入社28年、50歳の記者が堪能した早春の「中国地方の旅」。人生100年というなら今が折り返し。〝後半〟へ向けて、元気をもらった1泊2日となった。