甲賀流忍者、信楽焼、東海道五十三次の宿場などで知られている滋賀県・甲賀市で、街おこしの切り札として新たな特産品が誕生した茶農家、茶匠、JAこうか、同市など土山の茶産業に関わるメンバーがワンチームとして結束。約4年の歳月をかけて「萎凋(いちょう)×焙煎の新しいほうじ茶を産地一体でつくる」ブランド構想の下で、同市産の茶葉を使用して開発したほうじ茶「土山一晩(つちやまひとばん)ほうじ」が誕生した。
同市役所で1日に行われた記者発表会には、岩永裕貴市長も出席し「甲賀市は全国で13番目、滋賀県のお茶生産量の約9割を担う茶産地にも関わらず、知名度は低かった。しかも、国内の日本茶の消費量の減少や後継者問題、そして、コロナによるダメージもあり、甲賀市の茶産業は半減するなど大きく落ち込みました」と、茶産業の低迷を打破する切り札として2018年に「土山茶産地プロジェクト」を発足し、新たな特産品の開発に挑んできた。
岩永市長は「土山茶は甲賀市の誇りであり、次の世代に引き継いでいくべき大切な財産です。土山一晩ほうじという新たな地域ブランドが、土山茶の次世代の担い手の育成に繋がると同時に、お茶がもたらす豊かさをたくさんの人に伝えてくれることを願っています」と、10月には茶産地・土山をめぐる「ティーツーリズム」も実施する予定だという。
「土山一晩ほうじ」の開発には、同県大津市出身で数々のブランド開発を手掛けてきたエイトブランデイングデザイン代表の西澤明洋氏もサポート。「故郷・滋賀県の仕事は初めてで(土山一晩ほうじは)僕は毎日飲みたい美味しいお茶が作れたと思います。世の中はほうじ茶ブームが到来し、渋みを嫌う若年層にもほうじ茶が受け入れやすくなっています」と西澤氏。
土山産で、12時間以上萎凋(いちょう)させた香り高い茶葉を使い、同県茶商業協同組合員および土山の生産者が焙煎したほうじ茶を規格とする同商品は「華やかな香り」と「香ばしい焙煎香」のかけあわせが生む新感覚の香りを特徴とした、こだわりの製法で焙煎した産地限定の逸品として話題を集めそうだ。
同県茶業会議所会頭理事の岩永峯一氏は「全国に茶産地はたくさんありますが、ほうじ茶をメインにした産地はないと思います。普通のほうじ茶と違って香り、まろやかな味と、私は全国に出しても恥ずかしくないものだと自負しております。ほうじ茶といえば、土山一晩ほうじと言われるように全国に広めていきたい」と、新たなご当地ブランドの誕生と共に、同市の名産とするコメントを寄せた。
「土山一晩ほうじ」は1日から18商品が第1弾ラインアップされ、販売を開始した。
「土山一晩ほうじ」公式HP https://www.hitobanhouji.com/