どーも、お笑いコンビ「官兵衛」の伊藤です。大好きなマダイがシーズン真っ盛りで、一つテンヤをしようとネットで釣果を見ると各地好調のもよう。思い立ったが吉日!とばかりに、茨城・鹿嶋の清栄丸へ。チェックした翌日に乗船したのだが…。
受付で女将の山本栄子さんから「大変な時に来ちゃいましたねー」と第一声。大変?ネットでは各地好調に見えたが、コッチの海は、ここに来てシケが続き、底荒れの影響がややあるんだとか。それでも、右舷3番手の胴の間に着座すると、すぐ機嫌が良くなった。ここの船はデカくて奇麗。めちゃゆったり座れるのでノンストレス。

鹿嶋沖、水深35メートルのポイントに到着し、生きエビを8号のテンヤにセットして沖にキャスト。噂通り底が荒れていて潮が速い。12号に切り替えて、ようやく底が取れ釣りができる状況に。
程なくして逆側の左舷では2・5キロのマダイが浮上。右舷トモでも1キロほどのマダイが上がった。良い時間帯に釣れないと焦るもの。だが、オロオロしてる人がもう一人。イトーの前に座る埼玉県越谷市の奥村英樹さん(51)。ポイントまでの移動中、楽しそうに釣り談議していた常連さんの一人だ。
当初の明るい表情はなく、青ざめた顔でキョロキョロ。焦っているのは自分だけでないと少し落ち着いた。周りの釣果を調べ、教えてくれる優しい奥村さん。「今、またマダイ上がったみたい。メタルジグだって」。コチラも「今また左舷で釣れたみたい」と情報提供。ここに“釣れてない同盟”発足。情報だけは一丁前の2人だ。
そんな中、底を取り2メートルほどあおり、ゆっくり底まで仕掛けを落としてるとガツン!当たりだ。バチンと思いっきり掛ける。グググっ。乗った!めちゃくちゃ引く。出されるライン。イトーに目線くぎ付けの奥村さん。格闘の末に上がってきたのは、何と75センチのイナワラ(イナダとワラサの中間サイズ)。「あー!マダイちゃうかったぁ」とオデコ回避を大声でアピールする性格の悪いイトー。奥村さんがうらやましそうに見ていた。

その後、2人はホウボウやカナガシラは釣れても本命は来ず…。ラスト20分、エビ餌がなくなった。小田桐英二船長に聞くと、余りはないとのこと。すると奥村さんから「俺のエビあげるよ」と神の声。「俺、もうイイからさ…使いなよ」。自らの戦いの終わりを悟り、仲間に託すかのように。「俺の屍(しかばね)を越えてゆけ」。そう聞こえました。
「はい!!」と涙ながらに奥村エビを投入。横目で、横たわる奥村さんが白黒に見えました。「く、奥村さんの分も!見ててください、奥村さん」。丁寧に丁寧に誘うとガツガツ!ガツン!強めの当たり。思い切り掛ける。ググ!乗った。ガンガンガン!時折頭を下に突っ込むような引き。もしや…玉網入れに来た仲乗りさんも「マダイじゃないですか?」。高まる期待。上がったのは奇麗なピンク色、1キロのマダイ。ラスト15分で念願の本命だ。

奥村さんを見ると、横たわったまま。口角がやや上がった口元は僕を祝福してくれているよう。これは、奥村さんと一緒に上げた貴重なマダイです。
帰り際、奥村さんに記事の許諾を頂いた際に「いやー、俺新聞に載るの?有名人になっちゃうな~」と陽気に帰って行かれました。こんな書かれ方するとは思ってなかったやろな(笑い)。奥村さん、ありがとう。また釣りしましょう!
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。2018年に石橋俊春と「官兵衛」を結成。吉本興業所属。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、鹿嶋・清栄丸=(電)0299(82)3691。午前4時半集合。乗合料金は1万1000円。餌は別料金。女性、中学生以下は割引あり。
スポニチ2026年5月31日