吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が狙ったのは東京湾の“海の女王”シロギス。初挑戦となる“海の女王”。対面はかなったのか…。
釣り大好きイトーの今回は何と初物尽くしでございます。初の釣り宿の葛西橋・第二泉水、初のシロギス釣り。いわゆるファーストキスというヤツです。
初の釣り宿というのは毎度緊張するものなのですが、女将の小玉寿江さんが「たくさん釣れるよう頑張ってきてねー」と温かく船に送り出してくださいました。
乗船すると、後ろの釣り座のおっちゃんから「よろしくね」と。これを機にいろいろ尋ねてみると「キス釣りは年3回」「平均30匹前後」「同じ日でも竿頭は100匹の時も」という情報が手に入った。ちょっと待って。そんなに差が出る釣りなん?ここでスポニチ名物編集者から昔「キス釣りナメてたら痛い目みるぞ」とカマされたことを思い出した。不安になってきたところで木更津沖に到着。水深6メートル前後を片天仕掛けで探る。
とにかくさっきのおっちゃんをロックオン。まずは目標を30匹に設定してスタート。のはずが、全然釣れへん。おっちゃんほか同乗者は、ガンガン釣っていく中で1人だけ置いてけぼり。これヤバない?そんな状況に黒沢正敏船長から「キャストしてオモリで底を小突いて食わせの間をつくったり、聞き合わせもしてみると釣れるよ。当たりがあったら即合わせで」と分かりやすいレクチャーを受ける。
なるほど即合わせか、聞き合わせか…。全く当たりがなくても、聞き合わせるとグンッ。乗った。ビクビクビク。小気味良く引いてくれる。楽しっ。上がってきたのは20センチの良型。当たりなしでも聞き合わせで乗るパターンがあるのか。うっひょー、これで連発。おっちゃんに追い付いたと思いきや、パタリとこのパターンでは釣れなくなる。誘っても、聞き合わせてもダメ。何で?
今度は周りの二刀流の人が釣っているのでジッと観察。置き竿の方でガンガン釣れている。誘いも聞き合わせも入れずに、しばらくゼロテンションで放置するとビクビク。この日最大の25センチをゲットした。ゲーム性の高さ、パターンの多さ、めちゃくちゃ俺の好きな釣りじゃない?もうここからは周りの様子なんかお構いなしで、どっぷり自分の世界に入り込む。没頭しすぎて水分補給を忘れそうになるほど楽しんで33匹で納竿。何とか目標は達成。さておっちゃんは?「何匹釣れましたか」「38匹だね」。負けた。しかもこの日の竿頭は77匹だと。ダブルスコア以上?悔しっ。
キス釣りの印象は180度変わり、大好きな釣りになりました。すがすがしい気分で宿に戻り、女将さんに釣果を報告。「初めてなのに上手だね」と褒めてもらい、テンション上がった俺は女将さんに「またキスしにきますね!」と言い放ってしまい、逃げるように帰りました。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
スポニチ 2023年7月25日