吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が、好調が続いている茨城県大洗沖のマダコに挑戦した。自ら「得意」と豪語するターゲット。しかも今回は大物芸人が釣果を待っているというプレッシャー付き。さて結果は。
何を隠そう、イトーの一番得意な釣りと言っても過言ではないマダコ釣り。過去2度、大洗・大栄丸さんにお世話になり16匹、15匹と結果を出してきた相性の良い釣り宿。釣れるための条件が全てそろったような激アツ状態で、前日には釣りロケで一緒だったFUJIWARA・原西孝幸さんに「タコ釣ってくるので、おうちまでお届けしますね」と息巻いての現地入り。乗船してみると、連日の好釣果を聞きつけたタコフリークで満船の大にぎわい。
20分ほどで水深25メートルのポイントに到着し、早速タコ餌木投下。仕掛けをシェーク、シェーク。底を叩く、叩く。少しでも違和感や重みを感じたら思いっきりフッキング。スカッ、乗らない。またフッキング、スカッ…。メタルスライムを相手にしてるのかと思うほど、攻撃が当たらない。
周りの方々も釣れていない。隣のおじさんに聞くと「昨日の大雨の影響で海がだいぶ変わっちゃったね」と。濁りも出て、海中の塩分濃度も変わり、潮も緩い。取材の日に限ってイレギュラーが発生する。タコ釣りでは経験したことのない低活性ぶり。かなりスローペースの中、周りがポツポツ釣れ始めるが、イトーは釣れない。ん?よし、スカッ。これの永遠ループ。釣れてる人のタコ餌木と同じ色に替え、誘いのリズムも合わせる。開始3時間でようやくファーストヒット、ん?よし。フックアウト。確実に1キロはあったーと大声で周りへのアピールも忘れず。
東京湾のマダコ釣りは水深3~10メートルほどの浅瀬なので、巻いてくる最中にバレる確率は低い。やはり大洗の海は勝手が違う。そうこうしてるうちに同乗者は数を伸ばしていく。焦りしかない地獄のような時間が続き、ラスト2時間でようやくヒット。フッキングも決まり、重みも十分感じる。「やっと来た。おおデカい」とボヤきながら巻いてくると、隣のおじさんも「お、やっとだね」と祝福してくれる。浮き上がってきたタコを見て2人同時に「ちっさ」。100グラムのタコでした。おじさんは気を使ってくれ「こんなに小さな当たりが取れるのはじょ、上手な証拠だよ」と。気まずくなり、それまでの会話がピタッと止まりました。
リリースしたのでお持ち帰りタコは0匹。このままでは終われない、と奮闘しているとラスト1分で再びヒット。「ヨッシャー。これは絶対に逃がさん」「兄ちゃん慎重にな」。おじさんの応援もあり、無事80グラムのタコを釣り上げました。もちろん2人で「ちっさ」と同じリアクション。さすがにデジャブ過ぎたので、2人とも大笑い。大洗で大笑い!
帰港後、原西さんに「クーラー空です」と謝罪の電話を入れると「家族でタコ焼きパーティーの準備してたのに」と。原西家に多大な迷惑をおかけしてしまいました。大風呂敷は広げるもんじゃない。マダコ釣り、一から出直してきます。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、大洗・大栄丸=(電)029(267)4771。集合は午前4時、乗合料金は1万円。
スポニチ2024年5月28日