吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が、東京湾のタチウオ釣りへ。メタルジグで狙う“ルアタチ”で、釣れている人のマネをする「ハイエナ釣法」をなぜか封印。孤独な戦いを決めたはずだったのだが…。
相模湾に続き今回は東京湾での“ルアタチ”へ。横浜新山下・渡辺釣船店から出船、右舷胴の間を陣取った。テーマは「自力で考察して大物を釣る」。普段は釣れてる人のマネをするコピー能力を発動する「ハイエナ釣法」を多用しますが、あえて釣れてる人のことは見ない。自問自答を繰り返し、己の頭だけでドラゴン級を狙う孤独な挑戦です。
まずは本牧沖(水深20メートル)でスタート。大好きな「TGベイト」60グラムでスローに誘う。来ない、来ない。すると、左隣のおじさんが1匹目をゲット。見たい、どんなルアー?聞きたい、タナは底から何メートル?と…。そんな気持ちを押し殺し、黙々と自分の釣りを続けていると、今度は右隣のお兄さんにヒット。見たい、見たい、見たい。チラッ。赤金や。次の瞬間、赤金のルアーにチェンジ。自分の意志の弱さには笑うしかなかった。
〝ルアタチ〟の当たりジグ。キズの数だけ釣れたことを物語っている
本牧沖では両サイドの方が釣れたのみだったので、次は走水沖(水深80メートル)へ移動。すると1投目で、また右隣の方がヒット。チラッ。立て続けに2匹釣られてしまい、チラッ、チラッ。3匹目でじーっ。もうチラ見でも何でもなく、ただの凝視。お兄さんと目が合ったので、とりあえず会釈したが口元が動いている感じ。文句言われたかな?などと気にしつつ、4匹目を釣られたところでもうガマンの限界。コピー能力発動だ!
「誘いはスローテンポ」「タナは底より少し上」「ルアーのカラーは赤金」。全てをコピーするとグググン。上がってきたのは指幅4本の良型。心の中で「お兄さんありがとうやで」と感謝しつつ2投目。すると連続ヒット。他の方はみんな激しめに誘ってたけど、お兄さんとイトーの様子を見て、周りもスローな釣りが伝染していき船中で同じ誘い方に。ただ、お兄さんだけ周りとは違うペースでじゃんじゃん釣る。なんだかルアーに秘密がありそう。
結局、お兄さんが22匹で竿頭。一方、イトーは9匹。何が違うのか答え合わせしようと、話しかけたところ「伊藤Dですよね?(YouTube番組の)原西フィッシング倶楽部見ています。伊藤さんのせいで何百回も番組のテーマ曲を口ずさんでましたよ」と。口元動いてたのは歌ってたんか。気持ちよく伏線回収できたところで、釣れていた秘密を聞いてみた。2人とも使っていたのは同じTGベイトだったのに、お兄さんのジグは見たことのないカラー。「このカラーが東京湾でめちゃくちゃ釣れるんです」。文句を言われていたわけでもなく、番組の視聴者だったのなら、意地を張らずにもっと早く話しかけときゃ良かった、と後悔するイトーだったのでした。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、横浜新山下・渡辺釣船店=(電)045(622)8381。出船時間は午前7時、乗合料金は1万円。そのほか、午前・午後マアジ船出船中。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
スポニチ2024年12月13日