吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が、今が旬のイサキに挑むため、千葉・洲ノ崎の佐衛美丸に乗船した。良型の数釣りを目指すはずだったが…。先人たちの教えや釣り格言は守るべし、の結果となったようだ。
「イサキはタナを釣れ!」――。これを肝に銘じていれば、こんなことにはならなかったのに…。
コマセ釣り、ひいてはイサキ釣りは2年ぶり2回目のイトー。前回はサクサクと20匹以上釣れたのをいいことに、初心を忘れる体たらくぶり。うぬぼれておりました。
今回は佐衛美丸の左舷ミヨシから2番目に着座。ポイントに着き、前半はなかなか誰も釣れない渋い時間帯が続き、左隣にいた東京都中央区の住田光さん(56=会社員)といろいろ話していると「連日の爆釣に比べたら今日はシケの影響で厳しいかもですねー」。船内に2時間ほど暗雲垂れ込めた後、周囲でポツポツとイサキが釣れ始めた。隣の住田さんも釣れる、30センチの良型も上がる。船内が騒がしくなる。フィーバータイム到来。
しばらくしてボクにもデカい当たり。上げてみると何と35センチもあるデカイサキをゲット。よし、よし。しかし手返しも悪くないはずなのに、なぜかボクだけ釣れるペースが遅い。

船全体が騒がしくなり、2点掛けや3点掛けが続出しているのに、ボクはたまにポツポツと釣れる程度。当たっていてもバラしたり。釣れている人の竿のあおり方をまねる得意技の“ハイエナ釣法”を試みたり、コマセの量などを試したり、試行錯誤をしても改善されない。「必殺ハイエナ釣法が不発とは…」とこうべを垂れていると、左隣から天の声。住田さんから「イトーさん、電動リールのカウンターでタナ取ってませんか?」と。
ハッとさせられました。完全に抜けていた。電動リールのカウンターも、使っていくうちに、どんどんズレていくことを忘れていた。ラインの目印を見てタナを取ったところ、何と5メートルもズレていた。これは致命的。やってしまった。特にタナにシビアな魚なのに。
そこから目視でタナを取ったら、釣れる釣れる。ただ時すでに遅し。納竿の時間です。
竿頭が規定数の50匹釣れたのに対し、イトーは10匹で終了。情けない。住田さんがいなかったらと考えると、背筋が凍りました。命の恩人・住田さん。ほんまにありがとう。
帰り際、早川忠信船長に「やっちゃいました。すみません」とざんげしたところ「下手くそが!」という愛のムチが飛んできました。トホホ…。

◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春と「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、洲ノ崎・佐衛美丸=(電)0470(20)8003。午前4時20分集合、乗合料金は餌・コマセ・氷付き1万2000円。
スポニチ2025年5月10日