45センチ マゴチ お立ち台で視線独占

ミヨシ舞台にルアーで勝負

 

 マゴチの餌釣りが大好きという吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」伊藤貴之だが、あえて2年ぶりのルアーで挑んだ。東京・深川の吉野屋で、船内の視線独占?のミヨシに立ち、釣れたらドヤ顔、釣れなきゃ泣き顔のリスキーな戦いに挑んだ。

 

ボトムワインド

 

 夏にかけて旬を迎えるマゴチ釣り。生きたサイマキ(クルマエビ)を餌に、マゴチを仕留める餌釣りが大変楽しく、大好きなイトーですが、今回はあえてそれを封印。マゴチ狙いのルアー釣りに2年ぶりに挑戦しました。

 

 取材なので釣れなきゃ話になりません。なのに、餌釣りよりも一般的には確率の低いボトムワインドでの釣りに、自らを追い込んでチョイスするドMっぷりを発揮してしまいました。

 

 ちなみにボトムワインドとは、ジグヘッドとワームを左右に大きく揺らし、魚の食いつきを誘う釣法です。

 

 餌釣り勢が8人に対し、ルアーはイトー1人。キャストを繰り返すルアーマンは船の先端でやる決まり。今回は1人で特等席のミヨシに陣取る。

 

お立ち台気分のミヨシで1人ルアー釣り

 

 潮かぶりと揺れに耐えられれば、見晴らしは最高で、左右全員の釣果も確認できる絶好のポジション。何より全員から見える位置なので釣れた時に目立てる!裏を返せば、釣れないと悪目立ちしちゃうのですが。

 

 そんなリスクを抱えながら、富津沖のポイントで2年ぶりのボトムワインドを思い出しながらロッドを振る。

 

 ルアーを投げ、水深10メートルの底に着底したら小気味よく、リズミカルにムチのようにロッドをシュッシュッとシャクリ上げる。ルアーが着底するまで待つ。着底した瞬間に竿先がトン!と揺れる。この時にマゴチが食ってくるので全神経を集中です。シュッシュッ、トン。シュッシュッ、トン。

 

 

9匹で久々竿頭

 

 不発。強風もあって竿先が分かりにくい厳しい状況。水深4メートルの激浅ポイントに移動し、餌釣りの方が開始から2時間たったところで、ようやく船中1匹目を釣り上げた。それを見た他の乗客たちは、われ先に餌竿を2本出し。二刀流の餌釣り師たちを見て、さらに焦るイトー。

 

 少しずつ感覚を取り戻し、リズミカルにシャクれるようになってきたその瞬間。

 

 シュッシュッ、トトン!

 

 違和感。ガツン!フッキングが決まった。「食ったー」と声高らかに船内にアピール。降り注がれる視線。船内視聴率100%男。

 

 左右に首を振るマゴチ特有のファイト。完全に本命のはず。釣り上げると予想通り見事な45センチのマゴチ。

 

本命マゴチを釣ってドヤ顔でイキリ散らすイトー

 

 餌師たちからの羨望(せんぼう)のまなざしを感じながらもカッコつけて「ちょっと小さいスね。ウッス」とタモ入れしてくれた船長にスカす。

 

 ここからコツと自信を付けたイトーの怒濤(どとう)のヒットパレード。シュッシュットトン。ガツン!食ったーの繰り返しで気付けばマゴチ4匹。ヒラメ5匹の大爆釣。久々の竿頭に躍り出ました。

 

 帰り際に高橋郷船長に「よく釣れたね。正直今日ルアーはオデコになると思ってたからさ」と本音を聞いて背筋が凍りました。ホッ。悪目立ちせんくて良かったー。

 

マゴチ4匹、ヒラメ5匹の爆釣で竿頭!

 

 

 ◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春と「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。

 

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、深川・吉野屋=(電)03(3644)3562。出船時間は午前7時、乗合料金は1万500円。そのほか、タチウオ船、LTマアジ船も出船中。

 

 

スポニチ2025年6月6日