餌なくなっても“リサイクル釣法”ズバリ
竿頭シロギス75匹

〝二刀流名人〟と名勝負〝先祖・一刀斎〟にささぐ⁉

 

 実は先祖は剣の達人だった?吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が相模湾のシロギス釣りへ。神奈川・茅ケ崎の沖右衛門丸に乗り込み、竿1本の“一刀流”で“二刀流”の猛者たちをバッサバッサと切り捨てた。

 

簡単も奥深いターゲット

 

 どーも!死んだじいさんに「うちの先祖は一刀流の始祖、伊藤一刀斎や」と手書きの家系図を作って力説するデタラメを聞かされて育ちました伊藤です。

 

 今回のターゲットは旬真っただ中のシロギス。いつもの東京湾ではなく、キス釣りでは初の相模湾へ。連日好釣果の沖右衛門丸さんの左舷ミヨシに着座し、いざ出航~、はい到着。早っ。船着き場から5分の激近ポイント。船のメンバーを見ると、船宿から借りたオレンジのベスト型ライフジャケットを着用のビギナーさん数人。竿2本出しでハンターのような目つきのガチ勢上級者多数。

 

75匹で竿頭!〝一刀斎の末裔〟のプライドを見せたイトー。うそだったけど…

 

 キス釣りは、ビギナーでもそこそこ釣れる簡単さも魅力の一方、かなり奥が深い。名人級の上級者も数釣りにくるように釣り人の層が厚い。腕によって数にかなりの差が出るシビアさがあります。

 

 仕掛けはシンプル。胴突2本バリにジャリメを付けるだけ。あとは10~20メートル前後の海底に仕掛けを落とし釣り開始。着底させ砂地をズル引きして、しばらく待つ。すると、ビクビクビクビク!はっきりと当たりが来る。それをスイープ(ゆっくりと大きな竿の動き)して掛ける。「釣れた。船中1匹目は俺さまだ」とキスを釣り上げ周りを見ると、すでに上級者2人が釣っていました。

 

 

ダブルヒットから快進撃

 

 やば。こんなペースでは置いて行かれる。何としてでも竿頭の称号が欲しい。

 

 そこからコンスタントに釣れ、最初のポイントから離れるタイミングでちょうど30匹。ところが次のポイントで苦戦。周りはポツポツ釣れてるのに、自分だけ釣れなくなった。長時間の釣りでは、同じパターンでは釣れなくなる時間帯が必ず来る。ここでうまい人は即座に状況把握し、その時に合った必釣パターンを見つけ出す。ここで大きく差がつく。

 

 餌付けの長さや量、誘い方もズル引きの間隔を長めに、待つ時間も長めに…といろいろ検証して変えてみた。するとガツガツガツガツ。来た。久々のヒット。上がったのは2匹のシロギスちゃん。待望のダブルヒット。

 

シロギス待望のダブルヒットやで~

 

 ここからイトーの怒濤(どとう)の快進撃が始まる。見つけたパターンは正解だったようで、釣れるわ釣れるわ。周りが釣れてない時も一人だけ爆釣モード。だが、このまま無事終わるかと思いきや思わぬ事態に。爆釣の代償…何と2パック買った餌がラスト1時間でなくなってしまった。船長に聞いたら、もう売り切れだと。

 

 途方に暮れながら、ふと足元のキスだらけのバケツを見ると口からジャリメを半分出した個体を発見。コレや!バケツをかき回し、キスの口からジャリメを返してもらう。それを再利用してハリに刺す。何とか釣れる。このリサイクル釣法で最後まで釣りができました。釣果は75匹で自己記録更新。船長に報告すると、なんと。待望の竿頭!!全く同じ匹数の方がいたので正確には同数竿頭です。

 

 二刀流の名人と一刀流のイトーが同数なのが誇らしかったです。だてに伊藤一刀斎の末裔(まつえい)ではない。と、独り言を言いながら帰路に就きましたとさ。

 

 

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、茅ケ崎・沖右衛門丸=(電)0467(82)3315。出船は午前6時半、乗合料金は8500円。餌代別、ジャリメ1パック500円。

 

 ◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春と「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。

 

スポニチ2025年6月25日