どーも!お笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之です。今回は神奈川県の葉山鐙摺(あぶずり)港のたいぞう丸さんを初訪問。狙うは、幻のシロアマダイ。実は今まで、たまたま釣ったことはあっても、メインターゲットとして狙ったことはない。イトーの本気、見ててください。
シロアマはアカアマと何が違うのか。アカより浅場にいるくらいは聞いてるけど、習性や性格は違うのか…などと考えながら右舷ミヨシで支度していると「今のうちに餌のオキアミ解凍しといてくださいねー」と声をかけられた。振り向くとそこに超絶爽やかイケメン。26歳で船長を務める河村丈史(たけし)さんだ。

男前で嫌みのない非の打ちどころのない船長。この人目当てで女性釣り人口増えるんちゃう?と業界の今後を思うイトーに隣のおっちゃんがにじり寄ってきた。神奈川県逗子市の藤原淑隆さん(75)だ。「丈史は良い船長だ。デビューの日から知ってるからよ」と超常連トークを展開。「兄ちゃん、釣り業界は何で成り立ってるか知ってるか?」とクイズまで出された。
釣り人ですか?
「弥生人や」
あー。遺伝子のルーツですか。
「そーや。弥生人は道具にこだわるから高い釣り具を買うんや。縄文人は違うから良い釣り具買わへんのよ」
なるほど。おっちゃんはどっちですか。
「俺は縄文人や」
弥生人ちゃうんかい。
「ガハハ!ずっと同じ釣り具使ってるわ」
今日も愉快な釣行になりそうやで。
ポイントは25メートルの超浅場。やりやすいが潮が全然流れてないので魚の活性が高くない。
アマダイ釣りは片天仕掛けに2本バリが基本。餌のオキアミを丁寧に真っすぐ付けて投入。着底したらオモリでトントン底を叩き、砂煙を上げてアピール。仕掛けの長さにもよるが、1メートルほど底から上げてしばらく待つ。反応がなければさらに1メートル上げて、ゆっくりまた1メートル落とす。という基本的な誘いをしていると船長がシロアマの生態を教えてくれた。
(1)アカほどオモリで底を叩く必要がない(2)アカよりシロの方がどう猛に餌を追う。そのためアカよりもタナを上げて待つとのこと。
やっぱりアカとシロは習性が違うんや。しばらくすると右舷トモでシロアマ30センチが上がった。色めき立つ船内。直後に左舷胴の間でも。
取り残されたイトーとおっちゃん。焦るほど、待ちの時間が短くなったり仕掛けを落とすのが速くなり過ぎたりと雑になりがち。気を取り直し丁寧に誘いを入れ始める。釣れた人に聞くと、この日はトントン誘う方が良いそうで強めに大げさに誘って、2メートル上げて20秒待つ。さらに1メートル上げてゆっくり落とす。

すると、ガンガンガン!この日一番の当たり。迷わず合わせる。グググググー!完全に乗った。手巻きで丁寧に巻くと、真下に突っ込むような強い引き。この独特の引きはシロアマだとうすうす感づいていた。以前釣った時と同じだ。ただその名を口に出すとバレてしまいそうで、謙虚に謙虚に丁寧に丁寧に。上がったのは、うっすらピンクのシロアマダイ。しかも40センチの良型。この日船中最大のシロアマゲットでプレッシャーから解放されました。
終わってみると、船中でシロアマダイが釣れなかったのは、おっちゃんだけ。ボソっと「良い釣り具買おかな」とボヤいて帰っていきましたとさ。縄文人のおっちゃん、また一緒に釣りしようや!その時良い釣り具買ってたら笑ってまうで!

▼釣況 東日本釣宿連合会所属、葉山鐙摺・たいぞう丸=(電)046(875)1932。集合時間は午前5時、土日は駐車場混雑のため4時半。乗合料金は1万円。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春と「官兵衛」を結成しデビュー。吉本興業所属。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
スポニチ2025年8月30日