神奈川・平塚沖でこのほど開催された「バリバスカップ2024スポニチ平塚沖アマダイ釣り大会」には134人が参加した。吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之も参戦。頂点を目指して大型を狙い続けたが、掛かったのは…。
まず読者の皆さんに予備知識としてお教えしたいのが、イトーちゃんは49センチのアマダイを釣り上げた経験があります。37センチのシロアマダイもあります。アマダイに関しては、かなりの腕前だということを理解していただけたでしょうか。
手慣れたターゲットにもかかわらず「大会」となるとウマいこといかないんですわ。2年前は風邪をひいて欠席。昨年は水深100メートル近くを手巻きリールでガンガン攻め続けたため、スタミナ切れで入賞ならず。今回は三度目の正直というのを実現したい。電動リールも新調してマイタックルを持参。水深100メートルでも怖いものなし。そらぁ鼻息も荒くなるってもんですよ。
1匹の全長で勝負を決めるなら、運要素も十分に必要。誰にでもチャンスのある楽しいルール。受け付けする参加者は腕に覚えのありそうな面々ばかり。みんな目がギラついている。急に尻込みしているダサいイトーに、運が味方しました。釣り座を決める抽選で12号船の大ドモを引き当てた。さらに中乗りで釣り仲間である石渡隆也さんが乗船するというんです。これはまさに鬼に金棒、孫悟空に如意棒。頼れる仲間を得て、いざ出船したこの瞬間が幸運の最高潮だったとは…。
いざ釣り始めてみると、潮が全く流れていません。イトーの釣り座の並びはオデコが4人連なってしまう事態。「これは日が悪いから俺がヘタっていうことにはならないから良かったー」と安心していると、いきなり48センチを釣り上げた人が出現。優勝サイズやん。悔しい。ま、でもたまたま釣れただけやろ。すると次は50センチ、さらに51センチが追加されるなど、優勝サイズがバコバコヒットしていく。もうやめてくれ。言い訳できなくなるから。この状況を誰よりもビックリしていたのが船長でした。
終盤になりようやくイトーにも胸を張れるサイズのヒットが。竿先がググンと入ったところで「来たー。石渡~、タモー」と呼び付けるフリをして、周りのライバルたちにアピール。声のデカさを利用して船上視聴率100%獲得に成功。あとは釣り上げるだけや。周りの目を引き付けてプカ~と上がってきたピンクの奇麗な魚体…アマダイではなく、イトヨリでした。
漏れる参加者の失笑。おのおのの釣り座に戻る釣り人たち。アマダイよりも赤くなるイトーの顔。さらに肩をポンと叩き「ドンマイ」と言い残して去っていったかつての友。
総合優勝の栄冠を手にしたのはさいたま市の浅野俊吾さん(63)で、51・2センチでした。同じ船の胴の間にいた方でした。餌の場所は少ししか変わらないはずなのに、この差はなぜ!
アマダイ釣り大会からはもう引退します。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春と「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、平塚・庄三郎丸=(電)0463(21)1012。出船時間は午前6時半、乗合料金は1万1000円。アマダイ船は各地から出船中。
スポニチ2025年2月11日