静岡県西伊豆町の宇久須クリスタルビーチ沖で、6月25日に開催されたバリバスカップ2023「西伊豆SUPフィッシング大会」に出場した吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之。前年のリベンジを果たすべく、綿密な作戦を立てて挑んだ。
この大会を説明しておくと、SUP(スタンドアップパドルボード)で釣りをする国内最大級の規模で今回の参加者は70人。基本参加者は皆さんボード持参の方が多いので、いわゆるガチ勢で、私イトーが前年初参加した時はその雰囲気に圧倒され、入賞を狙うことはおろかSUPが派手に転覆する始末。全くもっていい思い出なし。
やれることはやっておこう。スタート前、少しでも徳を積んでおこうと砂浜の清掃をしました。善行はしっかりSNSでアピール。初参加の女性に「ここ前回サメ出たから」とビビらせて出はなをくじいておきました。はい、ライバル1人脱落。
準備は万全、いざ出船。作戦は「沖へ出て青物やマダイをメタルジグで狙う」。
前年の結果を踏まえ、大物1発出れば優勝が狙えるのを知っているので、このプランになりました。とはいえ、何の当たりもなし。周りをキョロキョロ見ても、誰も釣れてない。こっそり魚探を付けている人の後ろに付いてポイントをマネしても釣れない。
早朝、スポニチスタッフのH氏から「4年前のタチウオ大会の準優勝以来いいとこ無しですよね」とあおられたことを思い出した。見とけよ、H!!そうこうしてるうちに1時間半が過ぎた頃、女性が50センチのアカハタを検量したという噂が流れた。プラン変更。「磯場でハタ類を狙って、オデコを回避する」
ボトムチニング用の仕掛けを積んでいたので、磯場へ直行。すでに2時間経過しているので参加者たちに叩かれまくった後の荒れた磯場。誰も攻めないようなキワキワの岩場を攻める。すると、5投目でガツン。ジジジ…。出るライン。岩場に潜られたら切られる。焦るイトー。無事に浮かせて35センチのアカハタを仕留めた。よし、検量サイズ。前年とは違い順位争いに参加できそう。「あと1匹。あと1匹!」。岩と岩の間にワームをキャストし底を取って巻いてくる。ガツ、ガツン。来た。ネットインしたのは先ほどよりデカい37センチのアカハタ。ゴミ拾いしてて良かった。神様はちゃんと見てくれてるんや。
ルンルン気分で検量所に戻り、スタッフHにドヤ顔で「ほれ見!」と魚を渡すと「まずい、入賞あるかも」とポツリ。「まずい」て…。味方ちゃうんかぇ。
表彰式ではMCを担当しましたが、結果を知ってビックリ。僕の1・34キロは2位タイ。しかももう一人は友達の菊池美幸さん。ジャンケンで2位を決める流れになり、マイクで「普通なら女性に譲りますが、友達なのでガチで獲りにいきます」と説明すると会場からはブーイング。
結果は負け。会場からは割れんばかりの拍手。「ゴミ拾いしたのに」と叫ぶ俺。誰よりも強く手を叩くスタッフH。次は見とけよH!
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
スポニチ 2023年7月1日