「尺超えの肝パン・カワハギが釣れてるよ!」という船長からの誘いに神奈川県小網代・丸十丸を訪れたのは吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之。もくろみ通り大型は釣れたのか?
丸十丸と言えば名物が2つあります。
1つ目は何てったって小菅裕二船長。おちゃめなキャラで歯に衣(きぬ)着せぬボヤキ操船をされます。「あちゃー、こんな潮聞いてねぇよ~!みんなが頑張って釣ってくれよ~」。社長でありながら自らがマスコットキャラでもある最強の船長。
2つ目は船長の次女であり元キャバ嬢の経歴を持つ小菅結香さん。今はもう船長としても出船されてる釣り業界話題の釣り姉ちゃん。この日はラッキーにも結香さんも乗船。仲乗り業務をこなしながら、僕の隣で竿を出して教えてくれました。
しかし、ここ最近カワハギの食いが浅くてめちゃくちゃ渋い状況。なかなか誰も釣れない中、他のお客さまに接客をしにいってる結香さんの置き竿にヒット!巻き上げると釣れていた。船中最初の1匹。「ラッキー!ずっと置いとこうかな」と。
その後は片手間ではなく竿を持って真剣にやり出すと「来た来たー」。あっという間にもう3匹釣れている。
僕はというと、小さい当たりがあるが掛けきらない。早掛けしか知らない僕には難しすぎるこの日の状況。釣れてもトラギス、キタマクラ、エソの餌取り御三家ばかり。
結香さんにコツを聞くと「そっすねー、底でモゾモゾした小さい当たりがあったらあえてライン緩ませて吸い込みやすくすると釣れるかもです」とのこと。
半信半疑で実践すると、今までがうそのようにすぐ掛かった。しっかり引く。バラすなよバラすなよー!上がってきたのは20センチのカワハギ。ホッ。ようやく1匹釣れて一安心。
コレで何とか取材は成立。同じ釣り方で2匹目もゲット。そこからこの方法でも釣れなくなり、新たに結香先生に教えを請います。
すると「“はわせ釣り”と言って、完全にラインをたるませて底にハリを全部はわせるんです。ラインの微妙な動きを見て聞き合わせすると釣れるかも」と。
やってみる。すぐ掛かった!めちゃくちゃ引く!上がってきたのは、この日の船中最大サイズ、28・5センチの大型。肝もパンパン!
「やるじゃん、伊藤さん。センスあるね!」 師匠のこの言葉に気持ちがたかぶり、さらにハッスルし、この日6匹上げられました。
結香師匠のキャバ仕込みの接客に、僕含め船内のオッサンたちは皆メロメロ。気が付けば「肝パンのカワハギを釣りたい!」から「師匠に褒められたい!」に目的が変わっていました。
◯…大物をバラした常連さんに船長が、「あーあ、今のはもったいないなー。あーぁ」と船内放送でイジると、すかさず「傷エグんないであげて!」と結香さんのツッコミが入ったのがこの日のハイライトでした!
新しい年をきれいに迎えたいと思い、クリーニングに出していた漫才衣装のスーツを12月30日に取りに行きました。
昔からある近所のクリーニング屋さん。店の奥から白髪頭のおばあちゃんが「このスーツの中の刺しゅう見たけど芸人さんなんだね。派手なスーツだからホストさんかと思っちゃったよ」「ホストって、そんな男前じゃないでしょ、僕」「それもそーね!頑張って売れなさいよ」
こんなホッコリしたやりとりで店を出て、ニコニコしながら帰ってる途中にスーツをふと見るとスーツの白い襟部分に以前はなかった黒ズミが広範囲に付いていることに気付いてしまった。
意を決して店に戻りました。おばあさんに黒ズミを説明。
「そんなの見えないよ。ないよ!」
見えてないフリしてとぼけるが、渋々やり直しを承諾した。スーツ渡せるのが5日だとか。イトーは9日まで仕事はない。
おばあさん、「芸人の書き入れ時の年末年始に衣装なくて大丈夫なの?」
とっさに「年末年始仕事で忙しいけど、予備の衣装で何とかしますわ!」。むなしいウソを。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。
スポニチ 2023年1月6日