吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が、千葉・勝浦松部の信照丸に乗船しマハタに挑んだ。自己ベスト更新をもくろみ、竿先に集中したいところだが次々と“難敵”が登場してきて…。
連日好調が続いている信照丸さんでマハタを狙いました。本来マハタは冬が旬の魚なのに、なぜわざわざ夏場に行くのかって?
即答します。「ロマンがあるから」
4年前に信照丸で初めて2・6キロを釣らせてもらいましたが、とにかく引きがスゴイ。ガンガンという暴力的で荒々しい引きを経験してからというもの、すっかり魅了されてしまいました。半年に1回のペースで通うほどムキになるのは、自己記録を更新できていないから。狙えば狙うほど、マハタに沼っております。

まずは港から5分ほどのポイントで、餌となるマアジを調達。コマセをカゴに入れ、タナを取り1匹ずつマアジを釣っていると、ササッと横に現れた人物が。上乗りとして乗船していた吉野達哉船長だ。コマセも入れずにドボンと仕掛けを投入し、数回誘って上げてくると、いとも簡単に8匹の鈴なり。魚をぶら下げたままコチラを向き、ニタ~と笑い「ハリつけてやってますか?」とマウントを取ってきた。彼とは同い年。通うにつれ次第に仲良くなっていき、たわいのないことを言い合う関係に。ん?今考えたら初対面からしょーもないことを言うてきていた気が。
20匹ほど餌を確保して、いざ本命ポイントへ。マハタ釣りのイロハはしっかり頭に入っていて、(1)マアジを背掛けして仕掛けを投入(2)着底したら4メートル巻き上げて待つ(3)40~50秒たったらタナを取り直す――の繰り返し。当たりがあっても即合わせは禁物。前当たりからの「ガツン」という強い引きが来た時に合わせ、根に潜られないよう5メートルは必死のパッチで巻き上げる。イメトレも完璧だ。
開始15分でカツカツカツ、カツン。小物だがしっかりと重みのある当たりが伝わってきた。冷静にフッキングを決め、落ち着いてやりとりし、浮き上がってきたのは「マハタやー」。35センチとやや小ぶりながら喜ぶイトー。その後ろでは「マアジじゃないんですか?」とトボける達哉船長。確かに小さいけど、早くすくってや。

「……」(船長)
使うほどのサイズじゃないってか。はい。軽々と抜き上げ無事にマハタをゲットすると「これがピークじゃなきゃいいけどね」。
「そんなこと言いなや」
ところが船長の予言が的中。この日は珍しく風が吹かない「ナギ倒れ」の上、潮が全く動かない。ルアーで狙えど新鮮なマアジを泳がせど、一向に当たりなし。船中唯一の魚をゲットし竿頭に輝いたものの、マハタに肩透かしを食らった気分。

帰着後、かじを握っていた吉野勉船長が「お前が来たからお客さんが釣れなかったんだよ」って。親子そろってイジってくるな~。とはいえ最後には「船中1匹を釣り上げたんだから大したモンだよ。懲りずにまた来いよ」と愛のあるうれしいお言葉。次こそは!冬にリベンジや。
▼釣況 東日本釣宿連合会所属、勝浦松部・信照丸=(電)0470(73)3483。集合時間は午前5時半、乗合料金は餌別1万2000円、ルアーは1万1000円。そのほか、アカハタ船も出船中。
◇伊藤 貴之(いとう・たかゆき)1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。2018年に石橋俊春と「官兵衛」を結成しデビュー。ANGLERS公認「アングラーズマイスター」。
スポニチ2025年7月8日