渋野 申ジエと3差 逆転賞金女王へ上昇気配

6バーディー!!49位から一気6位

日没サスペンデッド

降雨で2時間17分の中断があり、日没のため33選手がホールアウトできなかった。49位から出た渋野日向子(20=RSK山陽放送)が15番終了時点で5つ伸ばして通算4アンダーとし、6年連続で賞金シード権獲得を目指す福田真未(27=安川電機)らとともに暫定6位に浮上した。ホステスプロのイ・ボミ(31=韓国、延田グループ)が3つ伸ばし、暫定首位の稲見萌寧(20=都築電気)に3差の暫定2位につけた。

日没後にパター練習をする渋野

パット練習成果

日没サスペンデッドを知らせるホーンが鳴ったのは、午後5時17分。15番でバーディーを奪った渋野は、16番のティーグラウンドから練習グリーンに向かい、日課としているパッティングのドリルをこなした。視界も悪くなった午後6時。いったん練習を切り上げて取材に応じた。
前半チャンスを外したぶん、後半チャンスが入ってくれたのでいい感じかな。ショットも昨日よりは修正ができていた」

前半はチャンスを決められず伸び悩んだが、青木翔コーチが「あそこで取れたのが大きかった」と指摘する9番のバーディーから流れを引き寄せた。ピンまで2メートル。下りの難しいラインを慎重に決めると、13番でボギーとした後の14番では得意のバウンスバックも決めるなど後半は6ホールで4バーディー。15ホール消化で5つ伸ばした。大会前にロングパットを重点的に練習した成果を発揮し「最近にしてはパッティングの距離感が合っていた」と好感触だ。

5番、ティーショットを放つ渋野

観客“アシスト”

出だしの1番では、まさかの「胸トラップ」で危機を脱出した。1Wでの第1打は左に曲がり、男性ギャラリーの胸部分を直撃。それが約20ヤードも跳ね返ってフェアウエーに転がった。「打った瞬間は当たるような感じでもなかったので、当たったと聞いてびっくりしました」。思わぬアシストで事なきを得ると第2打をピン手前3メートルにつけバーディー発進。「持ってるしぶこ」の本領発揮だった。
初日は49位と出遅れたが、久々の「しぶこチャージ」で暫定6位に浮上。賞金ランク首位を走る申ジエとの差も3に縮めた。逆転賞金女王へ「大事な試合」と位置づける大会。上昇気配で週末を迎え「今日の感覚を忘れないように寝ます」と独特の言い回しで意気込んだ。

15番、稲見(左)と談笑しながら2打目地点へ向かう渋野

延田グループから 全英優勝のお祝い ○…渋野は大会前に主催者の延田グループから、AIG全英女子オープン優勝のお祝いとして100万円が贈られた。使い道に関して渋野は「まだ決めてないんです」と話したが、「とても光栄なこと。今後も期待に応えられるように頑張りたいです」と感謝の気持ちを述べた。

萌寧好調“堅首” ○…先週の富士通レディース2位の稲見が今週も好調を維持。首位タイで出たこの日も日没サスペンデッドとなった15番まで5バーディー、ボギーなし。通算10アンダーまでスコアを伸ばした。バーディーパットは全て2メートル以内とショットが切れている。「今日はいいゴルフをしたという感じ」。2位とは3打差。自身初の完全Vへ視界良好だ。

申ジエ4勝視界

○…賞金ランク首位の申ジエが3バーディー、ボギーなしの69で暫定2位につけた。「ショットが良くてバーディーチャンスについたけど、パットが全然入らなかった」としながらも、雨の中でのボギーなしに「一日ずっと我慢強くプレーできた」。今大会で優勝賞金3600万円を手にすれば、女王レースで一気に後続を引き離すことができる。「今のショット感覚を維持できれば、いいチャンスがくると思う」と今季4勝目を見据えた。

1番、サスペンデッド寸前の豪雨の中、ティーショットを放つ福田

雨で2時間17分中断後も集中力維持暫定6位浮上

暫定成績ながら、7月のセンチュリー21(第2日3位)以来約3カ月ぶりの1桁順位に浮上。2アンダーの70と伸ばし、通算4アンダーの暫定6位で第2ラウンドを終えた福田の声は弾んでいた。
「今日はラッキーもあったし、上がりはボギーだったけど全体的には良かった~。一日、いい流れで回ることができました!」
大粒の雨が降る中でスタートし、1番のティーショットを放った直後に中断のホーンが鳴った。しかし、約2時間の中断後も集中力は途切れない。2番で4メートル、3番で7メートルのパーパットを沈めて流れに乗ると、7番で初バーディー。16番ではフェアウエーからの第2打をピン奥2・5メートルに寄せて4つ目のバーディーを奪った。
今季はシーズン序盤からティーショットの不振に悩んできた。ここまでのフェアウエーキープ率は56・9585%で88位に低迷。スイングを良くするため、本来のドローの球筋をフェードに変えようと試みたこともあった。5戦連続予選落ちなど成績も低迷し、一時は「打つのも怖くなった」と振り返る。
きっかけをつかんだのはここ1カ月。「考えすぎて、一周回って無心で打とうと。無心。振り切るということだけ、決めていました」。技術的な部分でなく、精神的なところ。「今日は曲がりました」と苦笑いも、自信を取り戻したティーショットが2打目以降へも良い影響を与えている。
現在の賞金ランクは48位。6年連続の賞金シード獲得へ、正念場を迎えた。だが、目指すはもっと上。「シードもそうだけど、一番上を狙っていきたいです」。元来の明るい表情も戻ってきた。

福田 真未ふくだ・まみ)1992年(平4)6月15日生まれ、福岡市出身の27歳。11歳からゴルフを始め、沖学園時代の09、10年に全国高校選手権連覇。日本代表としても活躍した。11年にプロ転向。17年に伊藤園レディースで初勝利を挙げ、18年の北海道meijiカップで2勝目。今年3月に地元・福岡の安川電機と3年間の所属契約を締結。今季の最高成績は3位。1メートル68、58キロ。血液型B。

ボミ昨年雪辱へ好調キープ

9番でバーディーを決め、ギャラリーの声援に応えるイ・ボミ

日没寸前の14番グリーンでじっと目を凝らし、2メートルのパーパットをねじ込んだ。首位に1打差の3位から出たイ・ボミが、出だしの1番で3メートルのパットを沈めるなどこの日も3バーディーを奪ってスコアを伸ばし、首位に3打差の2位と絶好の位置で2日目を終えた。
「1番からバーディーを取れたのでプレッシャーがやわらかくなったんですけど」
昨年のこの大会は2打及ばずに予選落ちして号泣。ホステスプロとしての重圧を攻めの気持ちではね返して今年は首位争い。少したどたどしい日本語で安堵(あんど)の気持ちを表現した。
今日の3日目は第2ラウンドの残り4ホールを含む22ホールの長丁場。「残りを軽く回って気持ち良く。ハイ」。この正念場を乗り切れば、17年CATレディース以来となる復活の日本ツアー22勝目が見えてくる。

柏原2勝目意欲 ○…9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子でプロ初優勝した柏原が、70とスコアを伸ばし暫定6位の好位置につけた。2番から3連続ボギーを叩くも、9番から5連続バーディーと一気に盛り返して「10、11番と10メートルが決まってくれて気持ち的に乗ることができました」と笑顔。プロ6年目で悲願の初勝利をつかんだ23歳は「ショットの状態も上がっている。優勝して、それをもう一度味わいたい欲が出てます」と2勝目への意欲を燃やした。

▽主催
延田グループ、スポーツニッポン新聞社、IMG
▽公認
日本女子プロゴルフ協会
▽後援
日本ゴルフ協会
▽協力
マスターズゴルフ倶楽部
▽競技運営
グレイスミヤタ

<10月26日付 スポニチ紙面掲載記事>