ボミ 2年ぶり復活Vへ逆転メークドラマ

第2ラウンドの残りと第3ラウンドが行われ、大会を主催する延田グループと所属契約を結ぶイ・ボミ(31=韓国)が3連続を含む4バーディー、1ボギーの69で回り、通算9アンダーで3位の好位置につけた。首位とは5打差。2年ぶりとなる悲願の復活Vをホステス大会で飾る。8アンダー64と伸ばしたテレサ・ルー(32=台湾)が通算14アンダーで単独首位。2位には通算11アンダーで稲見萌寧(20=都築電気)が続いた。

4年前最終日のイ・ボミ”すっぴん”顔

好位置だ3位

ホステスプロとしてのプレッシャーを力に変え、イ・ボミは最後に優勝した17年8月のCATレディース以来の最終日最終組に滑り込んだ。イーブンパーだった15番から3連続バーディー。3つスコアを伸ばして3日目を終えると、トレードマークの笑顔がはじけた。
「最終日最終組?ですね~。会社のためにちゃんと仕事したかなって思いますけど(笑い)。あと1日あるので、頑張ります!」
第2ラウンドの残り4ホールを終えて、通算6アンダーの3位から第3ラウンドを最終組でスタート。「ちょっと緊張してて」と前半は1バーディー、1ボギーと停滞した。スイッチオンは15番。残り35ヤードのアプローチを1メートルにつけてバーディーを奪い「流れが良い感じになった」と3位の好位置を守った。

微妙な距離のパーパットを決めて笑顔を見せるイ・ボミ

勝利の女神も

今週は韓国時代から仲間、チョ・ヨナさんが来場。チョ・ヨナさんは、コースに現れると過去2勝という“勝利の女神”だ。現在はレッスンプロで、この日の朝も練習場でスイング軌道をチェックしてもらった。「いい感じで打てている」。好調の3日間の裏には友の支えがあった。
今大会の最終日最終組。4年前を思い出したという。「私、凄く緊張してて。朝、メークも忘れて試合したんですよ。だからその年のカレンダーの顔が本当に恥ずかしくって。忘れないです、その写真」。メークを忘れたことは苦い思い出。だからこそ、今度は「メークからちゃんとして、いい写真ができるように、いいプレーを」と気合を入れた。

9番、多くのギャラリーを背にティーショットを放つ

“婚約パワー”

首位とは5打差。逆転不可能な数字ではない。「ここで優勝できたら死んでもいいくらいの気持ちが分かる」と言う、思い入れの強い大会。今年12月には韓国の人気俳優イ・ワンと結婚する予定の31歳にとって、2年ぶりの復活Vの舞台は整っている。

萌寧 強気3差

18番、バーディーパットを惜しくも外し、悔しそうな表情を見せる稲見

ショット不安定もパット攻めた

午前6時50分の再開から計21ホールを消化。ホールアウトは午後3時34分。出場選手で最も長い一日を終えた稲見は「耐えたラウンドでした」と息をついた。
ショットが不安定な中でも強気の姿勢は貫いた。第3ラウンド最終18番。ティーショットをフェアウエー右にあるバンカーのアゴの近くに入れた。カップまで残り170ヤード。出すだけの選択肢もあったが61を手に振り抜くとグリーンを捉え、ピン手前9メートルにまで寄せた。バーディーパットはわずかにカップの右をかすったが、ナイスパーセーブ。「ギャンブルに近かったですか」の問いにも「はい」とうなずいた。
ボギーを打った直後の13番では「バウンスバック!」とキャディーに宣言して、7メートルを沈めバーディー奪取。「初めて自分から言いました」とおどけた。猛チャージのテレサ・ルーに首位の座を明け渡したが「逆に良いんじゃないかな。3差なのでビッグスコアを狙うしかない。8アンダーが出てるし。誰より闘争心は負けない自信がある」と語気を強めた。
「優勝したいです」。きょう10月27日は昨年、胃がんのため69歳で亡くなった祖父・昭さんの命日。父・了(さとる)さん(41)も「何かの縁を感じます」と話す。週明けには墓前に手を合わせる予定だが、報告はもちろん、逆転でのツアー2勝目だ。

渋野Vへ吉兆⁉8差

渋野は第3ラウンドを4バーディー、3ボギーの71と伸ばしきれず、通算6アンダーの9位。「なかなか笑えるような内容じゃなかったですね。伸ばしたかったので、1個だけというのは悔しい」と心境を明かした。
この日は第2Rの未消化分の3ホールを回り、第3Rに向かった。2番でグリーン手前ラフからのアプローチが傾斜で戻りボギーが先行すると、10番でもアプローチが「キャリーでどっか~ん」と6メートルオーバーしてボギー。重点的に練習してきたのがアプローチだっただけに「もったいないですよね」と唇をかんだ。
首位とは8打差がついたが、今季4勝目を挙げたデサントレディース東海クラシックで最終日に8打差を大逆転した“実績”もある。「まあ、頑張らないとですよね」と苦笑いしつつ「私的には明日は2桁(アンダー)に持っていきたいと思っているので、そこを目指して結果がどうなるか」。最終日の“しぶこチャージ”にも注目だ。

テレサ・ルー10バーディー ○…首位に5打差の暫定5位から出たテレサ・ルーが第2ラウンドの残りを含めた22ホールで10バーディーを奪う猛チャージを見せ、完全優勝を飾った17年ツアー選手権リコー杯以来の日本ツアー17勝目へ一気に首位を奪取した。「今年は賞金が稼げてないので」。過去に3度、年間1億円以上を稼ぎ出している実力者が今季はまだ3800万円弱。国内最高の優勝賞金3600万円を是が非でも獲りにいく。

申ジエ4位後退も堅実(71) ○…賞金ランク1位の申ジエは堅実なゴルフで上位に踏みとどまっている。第3ラウンドは2位から出て4位に後退も、スコアは1つ伸ばした。「もう少し伸ばせるかと思ったが、アンダーで回れて良かった」と安堵(あんど)の表情だった。賞金女王を争う渋野とは2打差。高額賞金大会でライバルより上位でフィニッシュすれば展開も楽になる。「チャンスは必ず来る。諦めずに頑張る」と気合を入れた。

柏原ボギーなし4位浮上 ○…第3ラウンドは8位から出た柏原がボギーなしの4バーディー、68で通算8アンダーの4位に浮上した。フェアウエーを外したのは2回とティーショットが安定。「3日間の中ではラフに行くのも少なかった。その分チャンスにつけられた」と振り返った。首位とは6打差あるが「あと1日しかないので早く追い付きたいですけど、この先に向けてのゴルフもしたい」と冷静に見据えた。

賞金シード前進永峰6位 ○…8位から出た永峰が4バーディー、1ボギーの69をマークし、通算7アンダーの6位に浮上した。9番でボギーを打った直後の10番でピンまで残り151ヤードから6Iで50センチにつけてバーディー。「あれが大きかった」と笑みを浮かべる。賞金ランクは53位。このまま上位をキープできれば来季の賞金シード獲得に前進する。「自分の決めたことがやれれば結果はついてくる。いい3日間が過ごせている」と手応え十分に話した。

▼15位福田真未 ショットは3日間で一番良かったけど、グリーンが速くなっていてパットのイメージが出なかった。でも、イーブンに戻せて良かった。明日はしっかりタッチを合わせていきたい。(前半3ボギーも後半3バーディーともり返して)

▼6位 穴井詩 今日はパットが良かったです。割れていた練習器具を買い替えたら調子が良くなりました。(5バーディー、ボギーなしの67と伸ばして)

▽主催
延田グループ、スポーツニッポン新聞社、IMG
▽公認
日本女子プロゴルフ協会
▽後援
日本ゴルフ協会
▽協力
マスターズゴルフ倶楽部
▽競技運営
グレイスミヤタ

<10月27日付 スポニチ紙面掲載記事>