24-25シーズン 兵庫県内本拠地
プロスポーツ3チームの挑戦

 新たな挑戦の年だ。兵庫県内に本拠地を置くプロスポーツチームのヴィクトリーナ姫路が12日に開幕する「大同生命SVリーグ」で新時代の形成を目指していく。Bリーグの神戸ストークスは、来年開業するジーライオンアリーナ神戸をB1で迎えるべく2024ー25シーズンのスタートを切った。3人制バスケットボールのプロチーム、EPIC.EXEもさらなる飛躍を目標に積極的に活動を展開している。

 

 

昨シーズンはV2降格も圧倒的な強さで完全優勝

柴田真果が新主将 監督も全幅の信頼

 ヴィクトリーナ姫路の飛躍のシーズンが始まる。昨シーズンはV2降格を味わったが、アヴィタル・セリンジャー新監督を迎えてレギュラーラウンド16戦無敗、失ったセットはわずか1セットと圧倒的な強さを見せつけた。新生大同生命SVリーグの一員として臨む今季は、ヴィクトリーナ姫路としても生まれ変わった姿を日本中のバレーボールファンに知ってもらう絶好の機会になるだろう。

 

(左から)井上愛里沙、柴田真果主将、宮部藍梨

 

 移籍2年目のセッター、柴田真果が新主将に選ばれた。「パリ五輪が終わった後に(主将就任を)聞いて、私で大丈夫?とは思いました」。柴田は茶目っ気たっぷりに笑っていたが、チーム最年長という立場、セッターのポジションからも最適任。セリンジャー監督も「生まれつきのリーダー。自然とチームを引っ張ってくれる」と、太鼓判を押す。

 

柴田真果主将

 

 

 2019―20シーズンから4シーズンのV1は12位、10位、11位、12位だった。粘り強いバレーを掲げて戦ったが、優勝争いを繰り広げられるチームではなかった。しかし、2年前に宮部藍梨が入り、昨年は井上愛里沙が加入したことで攻撃力は確実にアップした。セリンジャー監督は「相手は手強いチームばかりだが、とにかく成長し続けたい。日本のトップチームを相手に一試合一試合見ている人を感動させるファイティングスピリットを見せたい」と意気込む。

 

宮部藍梨

 

 新外国人選手のミンニャ・オスマジック(セルビア)、アナ・ルイーザ・フヂゲル(ブラジル)は、日本でのプレーは初めてだが、ともに21歳と若く、チームを活気づける競争意識をもたらせてくれそうだ。ホーム開幕戦の19日SAGA久光スプリングス戦は姫路が熱く燃える。

 

 

 

五輪出場の宮部&井上 コンディションは良好

 

 パリ五輪に出場した宮部、井上は9月上旬にチームに合流した。個別トレーニングは重ねていたが、休養期間があったおかげでいいコンディションでリーグ戦に臨めるという。

 

井上愛里沙

 

 井上は「今シーズンは簡単ではない試合が続くと思うので、その中でも昨シーズン取り組んできた、誰が出ても高いパフォーマンスを出して結果につなげるいうところが大切になってくる」と、チームのポイントを挙げた。日本代表ではミドルブロッカーとして成長した3年目のシーズンを迎える宮部は「今はミドルとしての練習が多いのでミドルブロッカーがやりやすいですけどそれはライトであったりレフトであったり長く練習をしているところが必然的にやりやすくなってくるので、特にこのポジションがやりたいとかはないですね」と、チームで必要とされるポジションに集中する考えだ。今季は、大阪マーヴェラスに所属する妹・愛芽世との対戦も注目されるが「私としてはあまり意識はないです。でも、皆さんが楽しみにしてくれるのはうれしい」と話した。

 

 

上原社長狙ぅベスト4

 


上原光徳社長

 昨年6月に就任した上原光徳代表取締役社長は「世界最高峰を目指すSVリーグで上位進出、できればベスト4を目指したい」と、今季の目標を掲げた。その上で2026年に開業予定の収容5000人の新アリーナとともに、ヴィクトリーナ姫路をさらに地域密着型のチームとして発展させていく考えを明かした。

 

 


アヴィタル・セリンジャー監督

 

◆ヴィクトリーナ姫路◆

 

 ▽ヴィクトリーナ姫路 2016年設立の兵庫県姫路市を本拠地とする日本初の女子プロバレーボールチーム。競技人口の多い姫路でバレーボールを通して、さまざまな世代の教育や育成を目指している。創部3年目の2018―19シーズンでV2優勝を果たし、1部昇格を決めた。2023―24シーズンはV2だったが、今季は大同生命SVリーグで戦う。

 

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来年新アリーナ開業に向け

 神戸ストークスもプレドラッグ・クルニッチ新ヘッドコーチを迎え、大事な2024―25シーズンのスタートを切った。神戸ウオーターフロントエリアに来年4月開業予定のジーライオンアリーナ神戸は順調に建設が進んでいる。本拠地となる1万人収容の新アリーナで最高の船出を成功させるためにも1部昇格が今季の絶対目標となっている。

 

新キャプテンの渡辺翔太

 

 クルニッチHCは「目指すバスケットボールは、ディフェンスは安定を求めるためにしっかりとしたルールを徹底していきたい」と、前線からプレッシャーをかけ、プレーヤーの持ち味を生かせるオフェンスに持ち込む戦い方を示唆した。

 

プレドラッグ・クルニッチHC

 

 今年のチームは、経験豊富な日本人選手と日本でのプレーは初めてとなる外国人3選手で構成。ただ、外国人選手に関してクルニッチHCは「バスケットボールの技能だけではなく、日本文化への適合性も考えて選んだ」と、日本での伸びしろに自信をのぞかせた。
新キャプテンには移籍5シーズン目の渡辺翔太が就任。「1部昇格を目指してチーム全員で前向きに取り組んでいきたい」と、誓った。

 

◆神戸ストークス◆

 

 ▽神戸ストークス 兵庫県神戸市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム。11年に兵庫ストークスとして誕生し、15年にホームタウンを西宮市に定めるとともに西宮ストークスに変更した。Bリーグが開幕した2016―17シーズンでB2王者となりB1に昇格したが、翌17―18シーズン17位で残留プレーオフの末にB2降格した。23―24シーズンから本拠地を移し、現チーム名となった。チーム名のストークスは、県鳥の「こうのとり」が由来。

 

〇印はキャプテン

 

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 「EPIC.EXE(エピック・エグゼ)」は今季、5年ぶりの3×3プレミア プレーオフ進出を果たし、ベスト16の成績を残した。また、7月に開催された「3×3ユナイテッド2024―2025 FIRST HALF TOURNAMENT TO WORLD」(京都・バックドアベース)で優勝、9月にモンゴルで行われた世界大会に出場するなど飛躍のシーズンを送っている。

 

「インターエリア エピックラウンド」を制したEPIC.EXEのメンバー

 現在は、西日本に本拠地を置くチームがそれぞれの本拠地で国内トップレベルのホームゲームを開催し、西日本№1を決定するツアー形式の大会「3×3 UNITED(ユナイテッド)」に参戦中で9月末の「インターエリア エピックラウンド」で優勝し、来年3月のファイナル進出をほぼ手中に収めた。 

 


チームをけん引する一色篤主将

 

 一色篤主将は「プレミアはベスト8、ベスト4ぐらいまでは行きたかった。来年は若い選手と経験豊富な選手が調和してさらに上を目指していきたい」と抱負を話した。チームの岸田大佑代表も「チームをさらにグレードアップさせたい」とバックアップする考えを示している。

 


EPIC.EXE 岸田大佑代表

 

◆EPIC.EXE◆

 

 ▽EPIC・EXE(エピック ドット エグゼ)兵庫県西宮市を拠点に活動する3人制プロバスケットボールチーム。19年シーズンから「3×3.EXE PREMIER」に加盟。バスケを通じて兵庫県に新しい環境を取り入れることを目的にし、地域コミュニティーの活性化に寄与することを目指している。

 

〇印はキャプテン

 

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◇スポーツニッポン 2024年10月9日付