プロアマ戦は幸先よく優勝をゲット。余韻に浸ることなく、渋野は真剣な表情で練習に取り組んだ。アプローチグリーン。青木翔コーチが見守る前では黙々とウエッジの感触を確認した。優勝した全英女子オープン以来約3カ月ぶりの米ツアーだった台湾の試合は39位に終わったものの、収穫もあった。「米ツアー3戦目。先週悔しい思いをしたが、アプローチを勉強し、いろいろ練習してきたので、しっかり出せれば」と力をこめた。
青木コーチは「台湾では柔らかさと高さ。この2点だけ取り組んできました」と話す。アプローチでいかにやさしいタッチで打って柔らかさを出していけるか。今の課題に真摯(しんし)に向き合い、地道に習練を重ねることで新たなステップへ駆け上がろうとしている。
この日、発表された流行語大賞に「スマイリングシンデレラ/しぶこ」がノミネートされた。「あら本当ですか。ありがたいとしか言いようがないですね。うれしいというか恥ずかしいですね」。周囲の過熱ぶりとは対照的に渋野の反応は冷静だったが、自身の流行語を問われると「ポンコツかな。何回使ったやろ」と笑い飛ばした。
注目の第1ラウンドのペアリングは、テクニシャンの柳簫然とツアー屈指の飛ばし屋トンプソンと同組になった。プロアマ戦でキャディーとトンプソンの飛距離の話題をしたばかりで「(主催者も)分かっているじゃん。どんだけ距離の差が離されるんだということを痛感したいです。(トンプソンは)高校時代の憧れ。いい組み合わせすぎます」と気持ちを高ぶらせた。
佳境を迎えた賞金女王レース、さらには来年の東京五輪の代表争いでも大事な戦いとなる。「日本でやっているからには、いい争いができるように頑張りたい」。米ツアー2勝目を手にして「ポンコツ」からの脱却を目指す。
▽ゴルフと流行語大賞 07年に男子ゴルフの石川遼(当時はアマチュア)の愛称「ハニカミ王子」が新語・流行語大賞を受賞した。15年に野球の「トリプルスリー」、18年にはカーリングの「そだねー」など数多くのスポーツが受賞しているが、ゴルフ界での受賞は07年の1度のみ。今回渋野が年間大賞に輝けば、ゴルフ界では2度目の受賞となる。14年のトップ10に選ばれた「レジェンド」では青木功(現JGTO会長)がスキー・ジャンプの〓西紀明、プロ野球・山本昌とともに受賞者となった。
賞金ランク3位 前週の樋口久子・三菱電機レディースで今季5勝目を挙げた鈴木は「(体は)ちょっとしんどい…」と苦笑いしつつも「先週からそんなに変わりはないかな」とゴルフの状態は上々の様子だ。
現在の獲得賞金は1億円の大台を突破し、賞金ランクは3位につける。同ランク首位の申ジエとは約3000万円の差があるが、今大会で勝利を手にすれば逆転女王への道筋も見えてくる。だが、鈴木自身はいたって冷静。「先のこと考えすぎずに一ホール一ホール集中していきたい」と足元を見つめる。
昨年大会では60位に沈んでおり、「正直いいイメージは少ないかな~」が本音。だからこそ「自分であまり目標を高くしすぎないようにしていこうと思います」。17年の賞金女王で、4年連続獲得賞金1億円超えの実力者。自然体で臨んだ先に勝利が見えてくる。
トンプソン「優勝したい」 ○…5年連続の出場となるレキシー・トンプソン=写真=は「みんなもそうだと思いますけど優勝したいです」と大会初制覇に向けて意欲を燃やした。大会初日は渋野、柳簫然との注目組で回る。渋野については「とてもいいプレーヤーだと聞いています」と話しつつ、「たくさんのファンが駆けつけてくれると思うので、お互いにいい刺激をし合ってバーディーをたくさん取っていきたい」と力を込めた。
さくら4年ぶり「一打一打集中」 ○…C・ハルの欠場による繰り上がりで4年ぶりの出場が決まった横峯は「出ることができてうれしい。連戦ではありますけど、疲れはありません」。来季のシードはほぼ確実としているが、ポイントレース上位60人が出場できる今季最終戦のCMEグループ・ツアー選手権の出場権は得ていない。現在、同ランク68位と微妙な位置におり、「この大会でトップ5に入れたら可能性はある。一打一打に集中して打てたら」と話した。
河本「やるだけ」憧れ世界の舞台 ○…米ツアー最終予選会を9位で通過し、来季の出場権を獲得した21歳の河本は不安を口にしつつも「自分がやりたいことが世界の大舞台で戦うことだった。あとはやるだけ」と語った。4日に帰国したばかり。TOTOジャパンクラシックは米ツアーの強豪選手もそろうとあって「予選会で課題も出たし、自分の立ち位置が分かったら」と前向きだった。
◇第1ラウンドの組み合わせ◇
時間 1番スタート 7:30黄アルム、キム・ヒョージュ、M・カン 時間 10番スタート |